Half-Life Debut 10th Anniverssary ONEMAN 令ノ章

思えばHalf-Lifeというバンドと出会ってから長い時間を過ごしてきた。


2009年7月15日

確か夏の暑い日だったような気がする。


当時、自分は浪人生で、仙台市内の予備校に通っていた。浪人生に祝日も土日なんてある訳もなく、同級生がやれ夏休みだ、サークルの合宿だとワイワイしてるのを横目に予備校に行って数学と現代文の講義を受けていた。


自分の時間割には唯一水曜日に空きコマがあり、お昼休憩の後、16時まで3時間、日本史の講義を受けたら空きコマがあり、18時から生物の講義を受けて1日が終わる。そんな時間割だった。


世の予備校生なら空きコマがあったら自習室で勉強したり、講師に分からない問題を質問しに行っていたんだろうけど、自分は毎週水曜日は予備校の近くのHMVに行って新譜あさりをするのが日課となっていた。


2009年の7月15日もそんな水曜日だった。


いつも通りに予備校を抜け出してHMVに入ると店内である曲がパワープレイされていた。今までMr.Childrenやシンガーソングライターの弾くフォークソングばかり聴いていた自分には衝撃的な曲だった。ストレイテナーELLEGARDENも当時聴いてが、明らかに音色が違う音楽。


しかしただ流れていただけで詳細も何も分からない。当時は店員に聞くほどのコミュニケーション能力もなかったので、そのまま店の奥に進んだ。


そしていつも通りに新譜コーナーをあさり始めた時に、1枚のCDが目に留まった。すんごくシンプルだけど色調が鮮やかなジャケットが気に入った。


当時はジャケットが良いCDには絶対神曲が入っているという謎のジンクスを信じていた。試聴機にどうやらサンプルが入っていたらしいが聴くこともなく、そのままそのCDを手に取ってレジへ向かい、会計を済ませ店を出た。


その後CDをバックに入れ予備校へ戻り、生物の講義を受けて帰宅した。


が、その頃にはCDを買ったことすら忘れていた…笑


数日経って、CDの存在を思い出し、どれ聴いてみようかと再生して驚いた。


あの日、店で気になっていた曲が1曲目に入っていたのだ。


こうして偶然だったのかHMVの策略による必然だったのか、Half-Lifeというバンドに出会った。


でも最初の頃はたまに音源を聴くだけで、それ以外のことはしなかった。一応浪人生だったし、他にリリースされている作品もなかったし、そもそもどんなバンドなのかすら分からなかったから感情移入ができなかった。


自分は割とライブに行くまで時間がかかる。

CDや動画サイトでバンドを発掘してもじっくり音楽を自分の中で消化した上で、そのバンドないしメンバーに共感できたり、尊敬の念を抱かない限りはライブに行くことはない。


それから5ヶ月経ってアルバムがリリースされたらしいという情報が入り、予備校帰りにHMVに寄ってCDを買い、家に帰って早速聴いた。衝撃だった。鳥肌が止まらなかった。今までCDを聴いて鳥肌が止まらなかったのは後にも先にもこの時だけ。


残念ながらリリースから時間が経ってしまっていたこともあり、そのレコ発には行けなかった。


翌年自分は無事に大学生になった。ちょうどその頃epがリリースされて初めてHalf-Lifeのライブに行った。今までにない衝撃を受けた。何よりドラムのシンバルが高い 笑


それから仙台に彼らが来る度にライブには必ず行ったし、ツアーファイナルの東京公演に遠征したりもした。初めてライブで宮城県の外に出た。


当時は色々なバンドのライブに行っていたが、1番通ったのは彼らのライブだった。


震災が起きて、何気ない日常が奪われた時も彼らの音楽を聴いて乗り越えられた。


彼らのライブに行く度に「大切」も増えていった。今現在聴く音楽の半分以上は彼らの縁があって出会ったバンド達だ。


大学4年間の思い出のそれぞれにHalf-Lifeの音楽がリンクしている。


大学を卒業した辺りで自分も忙しくなったのと同時期に、彼らの活動のペースも落ちてきた。レコ発ぐらいにしかライブに行けなくなり年間で3本行ったかどうかというくらいにまでライブに行けなくなった。


2015年3月22日、新代田FEVERのワンマンライブに行ったのを最後に4年間彼らのライブを観ていなかった。


前置きがかなり長くなってしまったが、彼らの音楽と出会ってから、年月で言えば10年経った。


そんな時に開催が決定したのが2019年7月5日渋谷サイクロンでのワンマンライブ「令ノ章」と2019年7月15日下北沢シェルターでのワンマンライブ「和ノ章」だった。


そして2019年7月5日、

10年前、予備校を抜け出してHMVでCDあさりをしていた当時18歳の少年は渋谷サイクロンにいた。


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ステージに4年振りの彼らが登場すると、

ボーカルの上里洋志さん(以下洋志さん)が

Half-Life始めます」

と言い放って始まったのが

あの日HMVで衝撃を受けた「色彩」


フロアからも歓声が上がり、ライブは幕を開けた。


もちろん盛り上がり必至のこの曲だが、自分は涙を堪えるのが必死だった。Half-Lifeと共に歩んできた10年の記憶が頭の中を一気に駆け巡ったからだ。ライブから4日経った今の自分でも何故涙が溢れそうになったのかがわからない。


続いて同じCDに収録されている「magic」が演奏され、フロアの熱狂はさらにヒートアップ!疾走感溢れるこの曲でどんどんビートは加速していく。


その後MCで洋志さんが

「疲れた、休憩休憩!」

と久々のライブを全力でやったためバテ気味発言が飛び出す。笑


「今日はデビュー10周年という節目です。この10年が間違えていなかったかどうか、今日がただの思い出になってしまうのか確かめに来ました。」(ニュアンス)


そんなエモいMCの後に演奏されたのが「idea」


静と動が共存する名曲。歌詞が現在の彼らと自分を映し出す鏡のような気がして心に刺さって涙がまた溢れそうになる。


その後「discord」、「Boy&Girl」と立て続けに彼らの真骨頂とも言えるミディアムチューンが演奏され、会場の雰囲気もガラッと変わった。


懐かしく、大切な曲がどんどん演奏されていく度に涙は更に溢れそうになる。


名曲「凸と凹」のイントロで遂に涙が一筋、溢れでてしまった。


そこからの「ホタル」、「MY WORLD」は完全に泣かせに来ていた。


しかしここからまた一気にボルテージは上昇していく。


「深呼吸」、「city talk」、「effectology」と立て続けに彼らのライブ定番曲が続き、会場は熱狂の渦に包まれる。


そして彼らの代表曲である「J-POP」が演奏されると再び会場の雰囲気は静寂へと向かっていく。

 

「WORLD MAKER」、「アンプラグ」と彼らの曲の中でも優しくも強い言葉が特徴的な音楽が続いて鳴り響いた。


その後洋志さんがMCにて


「めちゃくちゃ楽しい。ありがとう。Half-Lifeは10周年ですが、途中活動が止まっていた時もあって、実際は10年なんて時間じゃないかもしれないけど、デビュー10周年という節目は今日しかないからこういうライブがしたいと思ったの。(中略) 本当はめちゃくちゃ売れたいと思ってました。ライブはSOLD OUTして、フェスにもバンバン出てそこにはたくさんの観客がいて、武道館でもライブをして… なんて思ってました。でも実際現実は甘くなくて。バンドマンとして甘い蜜を吸わせてもらったことあったけど、こうして自分たちのやり方でゆっくり歩んできた10年という道のりは間違えてなかったと思いました」(ニュアンス)


その後、健人さんと有さんにバンドを辞めると今まで一度も言わずに続けてきたことのお礼を洋志さんが言い、メンバーも会場みんなが涙を堪えていた中、


健人さん「洋志、もう15分ぐらい喋ってるぞ。次のMCで喋れ」


と言い笑いが起きる 笑


洋志さん「マジで?15分も喋ってた?じゃあ次はタケトが1番輝く曲をやります」


と言ってギターを弾き始める洋志さん

流れてきたのはDebut epに収録されている

「想いの隅」


涙目の健人さんのベース、有さんのドラムが続く。


サビを歌うタケトさん、本当に輝いていた。


その後「夏の終わり」が演奏され再びMC


洋志さん「あと2曲で終わってしまいます。でもまだまだ行けるよな!?」(ニュアンス)


そして演奏されたのは「orange」

ライブの定番曲で盛り上がる1曲。

本当にもうすぐ終わってしまうのかと疑ってしまうような会場の熱気。


さらに最後に演奏されたのが

「entrance」

こちらもライブでは必ずと言っていいほど演奏されていた定番曲だが、彼らの曲の中で最も最高音のキーが高く、喉の病気を患っている洋志さんにはキツイかなと個人的に考えていたから今日はやらないものだと思っていた。


しかし彼らは最後に入口という意味の高難度の名曲を持ってきた。故に号泣。


もちろん最高音を洋志さんが出すのは難しかった。でもそれをフロアが歌ってカバーする。本当に本当に美しかった。


entranceが終わりステージから去っていくメンバー。もちろんアンコールは鳴り止まない。


そしてすぐに洋志さんが1人で出てきた。

その手に自分が企画して、参加者の皆様にメッセージを書いてもらった横断幕を持っていた。


洋志さん「これ(横断幕)本当にありがとう。これやってくれた人、恥ずかしくて声かけられなかったんだけど、13時半ぐらいからずっとデイリーヤマザキの前で待っててくれた人なんだよね。ありがとうございます。」


もう涙が止まりませんでした。


そして健人さんと有さんもステージへ登場。


「アンコールありがとうございます。あと少しやってくんで、終わったらこれ(横断幕)と写真撮ろうな」(ニュアンス)


とアンコールがスタート。


「BASEMENT」


なかなかライブで聴くことができない曲だったので呆気に取られてしまった。曲名も一瞬出てこなかった。


でも歌詞がこれからのHalf-Lifeを暗示しているような気もして納得の選曲だった。


そして「sigh」


実はアンコールの定番曲でもある。


2012年3月10日

メジャー最後のワンマンライブとなった

渋谷クアトロでのライブでもアンコールで歌われた曲。記憶が当時とリンクして涙が流れた。


終わった頃には、気付いたらライブ開始から2時間半が経っていたが、本当にあっという間の幸せな時間だった。


最近忘れかけていた“自分の1番”はやっぱりHalf-Lifeなんだと改めて気付かされた。


人生をかけてるんじゃなくて、Half-Lifeが自分の人生そのものだったんだと。


このライブを経て、当初は行かないつもりだった7月15日の下北沢シェルター公演も行かなければならないと思った。


どうにかしてチケットを手に入れたい。


想いが溢れすぎてつらつら書いてしまって長くなりました。


本当は下書きにためてある記事もあるんですけども先にこれを書きたかったんです。


またゆっくり更新しますので、お待ちください。


セットリスト↓

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それでは